今日から3番弟子も盆休みで帰る。日中はまだ暑いが朝夕は少しだけ涼しく吹く風も変わる。粗末な小さい私の鍛冶場にも心地良い風が流れる。椅子に座って神棚の下に吊り下げている弟子の遺影に話しかける「盆も始まった。御父さん、御母さんも待っているので帰ってあげたら」 君の魂は刀が好きなのでいつも親方の仕事を見ていたいと言う。それならなぜ自殺したのか。私の心はずっと痛みが止まない。私に霊力があれば話してみたい事も沢山ある。年齢的には孫の様で在りし日の君の笑顔が浮かんでくる。わずか20歳で人生を終わるのはあまりにも早過ぎた。