12月5日

徒弟制度の上に成り立つ刀工修行において親方の指導方針は絶対である。それに従う事の出来ない者は辞めるしかない。親方がカラスの頭は白であると言えば白である。弟子は一生懸命に親方から言われた作業が完全に出来る様に努力をしなければならない。炭も鋼も親方の支給で修業をしているのである。今般何も出来ない弟子から私の指導に対して異論が出た。刀工生活50年近くに及ぶ中で初めてであるので、気に入らなければ辞めろと言ってある。今迄に14名の弟子が刀工試験に合格したが私の生き方に反する弟子は半数は破門にしてある。刀に命をかける事の出来ない弟子はいらない。自由も民主主義も無いのが徒弟制度の社会である。