弟子刀工が次に造る刀の地金を見るのに包丁で試作をするが炭素量が低いのか、火の温度と水温が合っていないのか不出来である。見学をしていたフランス人が帰ってから再度焼き入れをやり直す。砂鉄が変われば全ての成分が違うのでデーターを取らなければ次に繋げる事が出来ない。それが努力と工夫である。
心鉄の鍛錬を終わりて皮鉄と合わせて造り込みて8寸の長さまで沸かし延べ。外は寒気の影響で寒いが鍛冶場は15度と心地良く作業はスムーズに進んだ。弟子に見学をと思ったが気が散るので一人仕事。次回は見学をさす事にする。夕方は大雨となる。
1日わずか4時間の刀造りであるが4時間の作刀時間しかないのでどうしても頑張る様で疲れが残り定休日は国会中継を見ながら心臓を休める。
何の連絡もなく突然に関東から車で作刀の依頼あるも注文が多く順番も有るので2年は御待ち願わなくてはならなくそれでも良ければ注文を受けますとの返答。最近は刀剣の問い合わせが多いが体調の回復期なので無理な注文は受けない事にしている。
3日前に香港から20名程が見学に。今日は台湾の方がインド人を見学に案内したいと。桜が咲く頃には外人が多く訪れ3カ月先までは予約が入っている。その時に折り返し鍛錬をして見せる鋼を降し金で造る。外国人は日本刀を武器として見ているし武士の魂とし見ている。一門も武士道を以って日本刀を造らねばならない。
見学予定がないので弟子が新しく造り直した火床を使って脇差に使う地金の鍛錬。今だ問題があるので午後は私の刀に使う心鉄の鍛錬をして2人に見せる。徐々ではあるが少しずつ技術が上達しているのが目に見えてくる。来客有りて脇差の注文を頂く。私の心臓の事を思い待って頂くので助かる。
やっと刀の皮鉄2振り分を造り終わり達成感にひたる。刀にとって1番大事なのは折れない事である。その為にはベニヤ板のように多くの層を造るのに玉鋼を小分けにして鍛え、それを集めて積み沸かした物を多く造り、又それを集めて積み沸かして層を多くするのである。日刀保玉鋼の様に水べしをして選別すれば働きの無い鉄板の様な現代刀で終わる。日刀保玉鋼は炭素量が多く鍛伸性がないので水べしをして積み沸かせば脱炭するので丁度良いので古鉄等を混ぜると働きが出て粘い鋼となるが、全国各地の砂鉄を使った自家製鉄にはかなわない。
昨日迄の疲れも今日1日読書をして休む事で体調を取り戻す。私の刀造りは弟子も不要で全て1人作業である。時折は私の刀造りを弟子に見せる事も有るが狭い鍛冶場は息苦しいので私1人である。弟子の指導はもう1つの広い鍛冶場で口頭指導で弟子に刀造りをさせる。明日からの上鍛えも2日間ほどで刀の皮鉄が出来る予定である。
夜半から小雨は続くも刀の地金鍛錬には涼しくて助かる。中鍛えの鋼8個もやっと終わり4個の鋼にまとめて更に2個にして、次回は1個にまとめる上鍛えをすまして皮鉄は完成する。作業時間は4時間であったが非常に疲れたので明日は休日にする。
昨日使用した弟子刀工の火床は炭を倹約するのに火床の幅を狭くしているので鋼が沸かず3人の弟子は苦労していたので今朝は炉を壊して私が造った元の状態に戻す。刀を造るのに炭や鋼をケチっていたのでは名刀は出来ない。昨日の脇差鍛錬に使用した梃子棒の手直しをすると作業時間は丁度4時間なので今日は刀の鍛錬は出来ず。読書を進める。