昨日は勉強会に出るので山本刀工に後をまかせて早退したので朝一番に弟子のした折り返し鍛錬を見るが全くダメな仕事である。山本刀工の指導を聞かず自分勝手な事をした様である。手直しをK君にまかせて午前中はせん、やすりがけの指導。午後にやっと刀の地金鍛錬を始める。西風の強い日が一日続く。
今日は久し振りに弟子4名が出揃い年始めに刀工として日本の文化と伝統を守る決意の程を聞く。真の日本刀は武術面と美術面が一体化したものであり刀工の精神は葉隠武士道をもって造らねばならぬ。尽忠報国の誠である。午前中は山本刀工の火造りをした刀を説明しながら調整。午後は日刀保玉鋼2級品でK君が積み沸かしを行い折り返し鍛錬。今夜は今から県境の境の町で勉強会へ出掛ける。テキストは「明治維新と東洋の解放」
朝ベルトハンマーの修理後山本刀工の火造り指導を続ける。夕方眼科にて定期検査を受けて今日も終る。
窓から外を見ると初雪が少し積り妻から外は寒いので心臓に悪いから山歩きは中止との助言。2月の心臓検査に良い結果を出して刀造りに早く復帰したいので了解。毎年1年間の支出のレシート合計が1200~1300万円も有るので毎週2日間の定休日を利用して仕分けと電卓で計算を今日から始める。1年間の最大の行事。
刀剣女子の方から頂いた砂鉄の玉鋼は心鉄用に炭素量を低くしてあるので鍛錬回数は少なくして焼き入れ温度を上げ、水温は25度と低くした。炭素量が低いので研ぎ易く粘い地金である。これで一応年始めの仕事は片付く。これからは弟子の指導日の金、土、日曜を除き1カ月程は税金の納税準備をすましてから注文の刀造りとなる。
新しい玉鋼の性質を見るのに鋼を2キロ切断して折り返し鍛錬をして2本の包丁に火造り、ベルトサンダーで粗削りするが機械の調子が悪く山本さんと2人で修理。ベルトサンダーは15万円もするし直ぐに間に合わないので修理が早い。明日は焼き入れをして鋼の性質を見たい。週末には来客が多いのでなんとか研ぎ上げて御持ち帰り用の御土産にしたい。今は刀造りが忙しく包丁の注文は取っていないのでテストピースの包丁しか販売出来ない。次は刀の注文刀製作の続きに入る予定。
朝から雨が降り雨音を聞きながら娘のプレゼントの羽毛布団にくるまり年末年始の疲れを取り今年の弟子の育成を考える。 ①弟子は一体何の為に刀鍛冶になりたいのか、その目的を忘れているのではないか? ②刀工見習として努力、工夫をしているのか? この2点に不屈の信念を持って日夜頑張らなければ絶対に刀工になれない。遊び心では手先の器用さも生まれないし金属学も多少学ばなければ鋼造りも出来ない。私も弟子育成の為に包丁の売り上げで弟子には炭代も鋼代も無料、昼食代も無料で恵まれた環境にしてあるがそれが無になる。仕事が出来ない事は努力がない事であり、不屈の信念がない事であり、努力、工夫をしている弟子を重点的に教える考えである。明日山本刀工と一門の考え方を相談したいと思っているが出来ない者は去るのみである。
1人して年始めの打ち始め。山中の谷川で集めた砂鉄をもって10回の折り返し鍛錬をして神国日本を信ずる方の神棚に奉ずる極短い短刀を造り本年の第一作とする。友人が心筋梗塞を病い退院していたので安心していたが再び心不全で死亡していたことを知る。私も心不全なので無理の無い様に週2日を守り家族と弟子を安心せねばと強く思い年始めの決意としたい。
刀工の打始式は1月5日。昔から伝統技術職人の仕事始めはおおむねその様である。昼迄かけて2階の仕上げ場の掃除、片付けをすまし児島高徳公が兵を募らせた時に用いた「天地」の旗印について学ぶ。楠木正成の「七生報国」と云ふ丹心と高徳公の赤心を示す旗印である。
今日も1人で朝からたたら製鉄。刀の心鉄なのでフェマタイトは使用せずにマグネタイトの砂鉄のみで火力の弱い炭を使用して還元された鋼に酸素を当て脱炭させながらの操業で25キロの砂鉄で11キロの鋼を得る。これで刀3振り分の心鉄となる。今日も年始めからの来客で長巻き直しの注文が早速入る。

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