今日も猛暑が続くが早朝から鋼の試作で弟子は鍛錬から火造りへ進む。斬れる包丁が出来ないのに斬れる日本刀は造れない。もし日刀保玉鋼で折れず、曲がらず、斬れる刀を造る自信のある刀工は試作で包丁を造って鋼の性能を見れば斬試術が出来なくて判る。見る刀から使える武器である日本刀を造らねば民族の魂は滅びる。来月も心臓病センターで検査があるがもし良くなっていればたたら製鉄から日本刀製作までの一貫した刀工養成所を設立したい。
朝5時炭切り開始。6時素延べ2本を始めるもスプリングハンマーの金床の具合悪く溶接機を取り出し溶接修理。室温も35度となりクーラーで冷えた居間で一休み。午後は暑く見学者も無く素延べの仕上げ打ち。非常に粘い鋼で刀向きである。
鉄の神、火の神の金屋子神社へ妻と娘の3人で月初めの参拝に。新しく本焼き玉鋼包丁を販売する事になったK君の事業が成功する事を御願いする。またK君が来年刀工試験に合格すれば講師として刀工養成所を開設したいと思っている。
弟子達は休日でも早朝より一人で炭切り、鍛錬を進める。明けても暮れてもいつも鋼と向き合う毎日があったから刀鍛冶として生き残れたと思う。今日の鋼もK君と分けた半分を私の沸かし方で鍛えた地金を包丁にして比較する。この研究が刀造りに生きてくる。研究心と炎の色と火花を見る目と器用さの才能がなければいつ迄弟子を続けても絶対に刀鍛冶にはなれない。
短刀造りの疲れが出たのか今朝も体中に蕁麻疹が出て痒い。病院でもらった薬を飲んで休む。連日の猛暑で刀製作が出来ないので涼しくなる秋迄は玉鋼製包丁の造り方を弟子に教えながら販売用の包丁地金を造り注文包丁の準備を進めるが砂鉄の残りも少なくなり品質の良い砂鉄仕入れ先を見つけなければならない。
朝6時短刀の土置きを終えて7時より焼き入れ。5月5日より始めていた御守り短刀にやっと焼き入れが出来たので一安心。毎日暑い日が続き心臓をかばいながら早朝の涼しい時間帯の短刀造りであったがこれで心筋梗塞で倒れる前に注文を受けていた全てが終わる。明日よりは包丁造りの指導で少し体を休める事にする。
あまりにも暑く空はさえわたり日差しは明るすぎて短刀の焼き入れには不向きなので順延として一日を休みて明日に備える。
総員8名で大東塾14烈士中2名の自刃者を出した鳥取県の碑前掃除に出掛ける。昨年に続き暑い中皆様ご苦労様でした。夕方鍛冶場に顔を出すが現在の様な徒弟制度型の指導方法から学校型の刀工養成所に変えなければならないと思った。
朝から包丁の研ぎ直しに追われ、昼からはヨーロッパから7人の見学があり熱中症を心配しながらの折り返し鍛錬でとても短刀の焼き入れは出来ず来週に日延べにする。今日も暑い一日が無事に終わる。
心臓病センターでの検査では現状維持で新たに腎臓機能を高める薬が追加となる。涼しくなる迄は弟子に包丁造りを教えて無理をしない。その後は沢山の注文刀の順番で体調と心身を整えて奉納刀から打ち始める予定。奉納刀は奉納者も刀工の名も永遠に残り、現代刀の自家製鉄技術も後世に必ず評価される事である。